本協会について
現在、サンチャゴ・デ・コンポステーラの巡礼路では、宗教や文化、言語や文化、人種や国籍を異にする様々な人々が、それぞれの理由と目的から「巡礼」を行っています。
様々な価値観を持つ人を分け隔てなく受け入れる開放性、アルベルゲの管理人オスピタレロは自分自身も巡礼を経験した者でなければならないという、支援する者と支援される者との平等性、巡礼者同士が時に支援する者となりまた支援される者となるという相互性、そうした一般の社会とは異なった人と人との関係性が、今日広く受け入れられ、また求められるものとなっています。
それは、人であることが、若くて、健康で、生産的で、趣味の良い消費者であることとイコールであるかのように考えられてしまい、健康が損なわれたり、障がいを負ったり、高齢になったりすると、あたかも人間としての尊厳までが失われてしまうかのように思いこまされてしまっている私たちにとって、人間の人間らしさを取り戻すための一つの手がかりでもあるからでしょう。
じっさい、アルベルゲは、現在では「医療」や「介護」、そして「福祉」と呼ばれている、人がどこまでも人らしくありつづけるための働きと歴史的に深く結び付いています。
当協会は、この、弱くて当然、上手くいかなくて当たり前、だからこそ助け合って生きるという、人間の根本的なあり方の反映でもある開放性、平等性、相互性を運営の理念としています。そして、その理念を実現し、また広く訴えることを目的として、単なる宿泊施設を越えた新しい福祉施設とも言えるアルベルゲの設置と運営、ネットワークの構築と拡大、理念の共有と宣伝、そして最終的に日本、特に東日本大震災被災地域における新しい巡礼路の建設を目指して2022年に設立されました。
プロジェクト
- 福島ふたばアルベルゲ
- 原発事故のため全住民が避難を余儀なくされ、2022年9月からようやく帰還が可能になった双葉町に、協会直営のアルベルゲ第1号を建設しようとするプロジェクトです。 プロジェクト詳細
- 東日本太平洋沿岸巡礼路
- 2011年3月11日に発生した東日本大震災、原発事故災害によって大きな被害を受けた東北の太平洋沿岸部に、祈りと再生のための「魂の道」を作ろうとするプロジェクトです。後日詳細公開
わたしとアルベルゲエッセイ・随時更新
皆様の巡礼経験、アルベルゲ体験、またそれへの思いを共有するためのスペースです。
ブエン・カミーノ!応援の声
- 内田樹様
- 凱風館館長・多田塾甲南合気会師範
災害の被災地や戦場跡や非人道的な行為がなされた土地もまた一種の聖地だと私は思う。その地を訪れ、そこで行われたことを思い出し、次世代に語り継ぐこともすぐれて宗教的な行為だと思う。そこでつぶやかれた言葉がその地にとどまり、沈殿して、ある種の「歌枕」のようなものをかたちづくることがある。そこから豊かなもの、善きものが生まれると人々は昔から信じてきた。私もそれを信じたい。
- 釈徹宗様
- 相愛大学学長・如来寺住職・NPO法人リライフ代表
このたびは日本アルベルゲ協会の設立、おめでとうございます。日本各地で聖地巡礼が盛んになることを願っております。
- 中澤安奈様
- 彫刻家
私はヨーロッパのロマネスク教会巡りが好きで、三ヶ月ヒッチハイクをしながら一人で144ヶ所訪れる旅をしたりしました。 俗世から離れた人気のない田舎で、石造りの教会が姿を現した時は、地球の一つの小さな人格がそこに佇んでいるようで感激します。
20代の時に体験した3.11の震災と原子炉の事故はまだ解決していないし、抱えている傷の深さは人それぞれではあるけれど、皆がそれぞれの人生に様々な形で心の中に内包している場所–それが福島だと思います。 そこに巡礼宿ができると聞いて、「おや?何が起こるんだろう?」と心ときめかせています。
イエス様は小さき者が弱さを抱えたまま身元に来るのを喜び、そしてみなが互いに交わりを保つことを求めておられました。 アルベルゲという形でそのような一つの場所が現れたらすごいことになると思っています。
- 寺田伸夫様 寺田聡様
- 有限会社アーキトレイブ
アルベルゲは人と人との関わり合いを生み出し、 そして育む環境を持っていると感じています。 アルベルゲを通して、開放性、平等性、相互性の輪が広がり 新たなコミュニティの核になるでしょう。
アルベルゲとは
「アルベルゲ」とは、スペイン語で「巡礼宿」のことです。
ヨーロッパ中世、「聖地巡礼」その頃はエルサレムとかローマとかのキリスト教の聖地が主でしたが盛んだった時代、巡礼者を教会や修道院が受け入れたり、王族や貴族が支援することから始まったと言われています。
その後、巡礼は下火になりますが、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼は細々ながらも続き、今日では、宗教的な目的のためだけではなく、広く心と体を癒しまた賦活するための「魂の道」として多くの人が利用するようになりました。
この巡礼を支えているのが「アルベルゲ」です。市町村や州政府など公的なものと修道院や教会、巡礼者協会など各種の団体によるものとがあり、さらに個人やNPO法人が経営するものもあります。料金は10ユーロ1000~2000円程度で、無料寄付のところも少なくありません。
宿泊には「クレデンシャル」と呼ばれる巡礼手帳が必要ですが、これは誰でも入手できます。基本的には男女の区別のない大部屋で、ベッドも二段ベッドにマットレスのみ、寝具寝袋やタオルは利用者が用意します。シャワーが水だけのところもあり、食事はバルやカフェを利用するか、自炊になります。「オスピタレロ」と呼ばれる管理人はいますが、ホテルのようなサービスはありません。
けれども、だからこそ世界中から集まる巡礼者との出会いと交流の場となって、それが最大の魅力ともなっています。

協会概要
- 設立
- 2022年9月
- 代表理事
- 芳賀繁浩
- 事業目的
- 日本におけるアルベルゲ巡礼者のための簡易宿泊所の普及活動
- 事業内容
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- アルベルゲの設置と運営
- アルベルゲのネットワークの構築と拡大
- アルベルゲの理念の共有と宣伝
- 住所
- 〒171-0044 東京都豊島区千早3-37-2
お問い合わせ
- メールアドレス
- info@albergue.or.jp
- 電話番号
- 03-3959-4052